平成26年8月4日、5日
滋賀県大津市唐崎で議員セミナーを受けてきました。
1日目の講義は

『これからの社会保障制度―2025年を展望して―』慶應義塾大学経済学部 駒村康平教授

『障がいを持つ人の働ける場をつくる』農事組合法人共働学舎新得農場 宮嶋望代表

●まずは最初の講義 これからの社会保障制度

社会保障制度は人口の数によって左右されます。一昔前は正規雇用で給料は年功序列、家庭では核家族化が進み、専業主婦が増えました。
現在は、雇用システムが変わって非正規雇用労働者が増え、給料が安く、結婚ができない、少子化へと進んでいます。
共働き夫婦が増え子どもを預ける保育所がパンク状態、一方幼稚園では定員に満たない所もあります。
2040年には人口の4割が高齢者となり、ますます支える側の負担が大きくなります。
2004年の年金改革でマクロ経済スライドの導入により年金は破綻しませんが、支払う額は増え、支給率は毎年下がります。
保険の方はそうはいかず、納める人数(納税者)が足りないと高齢者の保険を負担することができません。
人口の分布が大きく作用することになります。
地域の人口が減少すると生活関連サービスの確保が困難になってきます。
政府は社会保障と税の一体改革によって、少子化対策に子育て支援を、低所得者には地域医療や介護の充実、年金制度の改善などの政策に取り組んでいます。
子育て支援で女性の就業率をあげ、65才以上の労働者を増やし若い世代をサポートしていく役割を担ってもらい、非正規雇用者の厚生年金の適用拡大など対策をとっていかねばなりません。
国の政策として子ども子育て支援制度、生活困窮者自立支援法が来年度より始まります。
地方自治体はこれらの政策をしっかり使いこなし、自分たちで地域を作らないといけません。
という内容のものでした。

柏原市ではいち早くCSW(コミュニティソーシャルワーカー)をおき、生活困窮者に対して支援を始めています。
子育て支援についても会議を開き動き始めています。
頼もしいことですが、私もまだまだ勉強して内容を検証し、何が必要で何が必要でないかを見極めないといけません。



●次は障がいをもつ人の働ける場として農場を作り、35年間で学んだことと題して講義されました。
1、苦痛や不安は乗り越えられることを知る
   →隠された可能性を引き出す、幸せ感を得る

2、健康や安心に結びつく食べ物や環境を作る技術を確立
   →バイオダイナミック農法で暦にしたがって散布する
    炭埋をしてエネルギーの流れを作る

3、経済優先を超える「いのちを活かす」価値観に基づき生きる
   →新しい価値観を広げていくと結果として経済価値が生まれる

量産体制ではなく日本の発酵文化から生まれた微生物を使って”品質”を追求
グローバルスタンダードからローカルスタンダードへ

特に興味深かったのは2の暦にしたがうというもの。「満月が過ぎたあとはよく育つ」と仰っていました。
電気についても興味深いものでした。炭を土壌に埋めて(炭埋)エネルギーの流れ(-から+へ)をつくるというものです。
学校に埋めた場合、子どもたちは落ち着きができ、勉強に集中できたという実績があるそうです。
また、パンの窯の火口は東を向くようにすること、朝日でパンが焼けるのだそうです。
いろんなサイエンスの不思議が話のなかで飛び交い、大変面白いものでした。

バイオダイナミック農法で用いられる、土壌を浄化活性化させる牛糞調合剤。これは雌牛の角に牛糞を詰めて東向きで畑に埋め、ひと冬越してから取り出して水で薄めてかき混ぜ、畑に散布するというものだ。宮嶋さんからはじめてこの手法のことを聞いたときはオカルトだと思ったが、これには地電流を角にためて牛糞の中の善玉微生物を活性化させ、畑の種菌にする仕組みがある。電子が西から角に流れ込み、角は絶縁体なのでそこで貯まっていく。それが生きた土壌に欠かせない朝陽のエネルギーを引き寄せるアンテナになるのだという。


障がいをもつ人たちのモノ作りには織物や革のストラップなどがあり、人気がありよく売れます。
売れると社会人として認められたと確認でき、また仕事に励むことができるのだと仰っていました。
何も話さない人に絵を書いてもらうと怒りを表す絵でしたが、しばらく落ち着いた空間で生活をしていくと天才的な配色で(美大の先生による)調和のとれた絵に変わり、さらに牧場の仕事へのモチベーションがあがるそうです。
生産量より品質を重視し今まで取り組んできて、ようやく世界の味においつき、チーズの部門で金賞をとることができました。日本の酪農から金賞が取れるチーズが作れるのは外国の方から見れば大変なことだそうです。
地道に35年間続けてこられた成果があらわれています。


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