平成26年8月4日、5日
2日目は大本命の子ども・子育て支援新制度を含む講義です。

『子ども・子育て支援新制度とこれからの子育て支援』 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長 奥山千鶴子 

『子どものことを真ん中に ~熊取町の子育て支援~』  大阪府熊取町 中西誠町長
 
●子ども・子育て支援新制度について

日本の少子化は深刻な問題です。昭和25年には人口の35.4%が子ども(0~14歳)であったのが平成26年ではわずか12.4%に減少しています。一方、65歳以上の高齢者は4.9%から25.6%に増加しています。
出生率からみても、昭和41年のひのえうま年で1.58%でしたが、平成17年に最低の1.26%と記録を下回りました。
他の主要国と比較しても日本が顕著に少子化問題に直面しています。ちなみに続いてドイツが出生率1.36%です。
日本の結婚事情はというと、1995年の平均初婚年齢は男性28.5歳、女性26.3歳でしたが、平成24年では男性30.9歳、女性29.3歳と女性の方が多く年齢があがっています。
生涯未婚率は、昭和55年では男性2.6%、女性4.45%でした。平成22年は男性20.4%、女性10.61%と男性の未婚率が10倍近くに増えています。

なぜ、このように日本だけが少子化が進むのか、社会のあり方とは―――
過去20年で専業主婦世帯が減り共働き世帯が増え、非正規雇用の割合が3割になりました。
子育て世代の男性(30~39歳)がとくに長時間労働をしており育児に時間がとれません。
女性の出産後継続就業率は上がってきているが男性の育休取得率は低迷しています。
子育てが孤立化しやすく、女性の負担感は増大しています。

横浜市のニーズ調査で、子どもが生まれる前に赤ちゃんのお世話をした経験がない人が74.1%もいました。私は生む前に赤ちゃんのお世話の経験が少しだけありましたが、毎日しっかりお世話してきたかと言うと違います。
従姉弟が生まれ親戚の家へ遊びに行くときは遊び相手をしていたり抱っこしたりしていた程度ですが、触れ合う時間は長かったことを思い出します。
しかし、いざ自分が子どもを生み育てるのは全然違ったものでした。心も時間も余裕がありません。待ったなしに赤ちゃんは泣いてあれやこれや要求してきます。とても生命力を感じます。

私も当てはまる点もありましたが、子どもを持つことへの意識調査では、
「ちゃんと育てる自信がない」
「金銭の余裕がない」
「子どもが苦手」
「子育てが大変そう」
「時間の余裕がなくなる」
といったものがあり、さらに、子どものいない人の4人に1人は子どもがほしくないとの結果が出ているそうです。
結婚の問題、労働の問題、金銭の問題、これ以外にも少子化問題に含んでいることがわかります。
制度をよくしても心が伴わないと解決しないのかもしれません。
社会問題ととらえ、早期に対策をとらなければいけません。

子ども・子育て支援新制度では、認定こども園の普及、保育の場を増やして待機児童を減らす、子育て支援の量の拡充や質の向上、地域の子育て支援に取り組みます。
また、地域型保育を新設し、0~2歳の子どもを預かる事業を増やします。
1)家庭的保育(保育ママ)
2)小規模保育
3)事業所内保育
4)居宅訪問型保育

また、地域の子育て支援についても力を入れていきます。
子どもの頃の近所の大人との関わり合いが多いほど、子育てに対するイメージがよいことがわかっています。
地域コミュニティが子育てにも影響してきます。子育てが孤立しないよう、周りが支えていくことが大事だと痛感します。
大変多くのことを学びました。柏原市では子育てでどういった問題が生じているか調査しニーズに合った支援をしていきたいと考えます。


●子どものことを真ん中に ~熊取町の子育て支援~

「住むなら熊取」のロゴを作り、定住促進と子育て支援に力を入れている熊取町の取り組みについて講義を受けました。
熊取町には京都大学原子炉実験所・大阪体育大学・関西医療大学・大阪観光大学と学園文化都市であり、図書館には36万冊の蔵書(13万冊の児童書含む)をそろえ、年間22万人の利用者がいるとのこと。
大阪の都心部から電車で30分、関空からは15分で行ける都会でも田舎でもない「トカイナカ」です。
関西イノベーション国際戦略総合特区の指定を受けて熊取アトムサイエンスパーク構想があり、京都大学原子炉実験所の研究成果BNCT(ホウ素中性子補足療法)の医療展開を目指しています。

さて、子育て支援ですが、自治会を中心とした協働のまちづくりをしていて住民自治と行政がうまく連携をとっています。切れ目のないサポートとして保健・福祉・教育をトータルで推進する「子ども家庭課」を平成18年より設置しています。
ファミリーサポートセンター、つどいの広場事業、1年生~6年生対象の学童保育所がありNPOが運営しています。
関西発の訪問型子育て支援「ホームスタート事業」を平成22年から展開しています。ホームビジター養成講座を受けたボランティアが家庭訪問し、悩みを聞いたり、家事や育児のお手伝いをしたり、市の事業への橋渡しをしたりと幅広く活動されています。

こんにちは赤ちゃん事業→
ホームスタート事業→
保健師による訪問指導→
養育支援訪問事業

これらの事業展開で「待つ支援から届ける支援へ」取り組まれています。

学校教育の充実をはかるため、ALTによる外国語授業、習熟度別授業、学校支援事業、学校図書館司書の配置、また学生による学習支援も行っています。
学校給食は小学校中学校とも昭和30年代から始めており、各学校で調理配膳をして「できたて」を提供しています。
子ども見まもり隊・スクールガードリーダー・安全パトロール隊・自主防犯ボランティア団体・子ども110番の家など地域協働で子どもの安全確保につとめています。

子育てしやすいまちづくり、教育の充実、転入定住促進と積極的に取り組まれているお話しを伺うことができました。

熊取町中西町長の講義を聞いて、わがまち柏原市と比べたとき、取組についてはほぼ同じであると感じたのですがたったひとつ違うなと思う点は、【PR力】です。
おしゃれなデザイン、プレゼン力がまけています。取組内容など、柏原市においても積極的に事業を行っていますが、同じことをしていても【PR力】が違うので、目をひくのは熊取町の方です。
子育て政策、教育政策では柏原市も力を入れており、新しい事業がいろいろあります。
しかし【PR力】が足りないと確信しました。
皆と同じではぼやけてしまう。キラっと光らせるものが必要です。
大変いい勉強ができ、課題も見えました。
これからどのように柏原市をアピールできるか、考えていきたいと思います。

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